環境社会学とは

 環境社会学は社会学の中でも新しい領域で、その定義は確定したものではありませんが、飯島伸子初代会長(東京都立大学)は、「人間を取り巻く自然的、物理的、科学的環境と人間集団や人間社会の諸々の相互関係に関する研究を行う学問領域」と定義しています(『環境社会学のすすめ』1995年、丸善)。そして、環境社会学の他の科学に対する独自性は、「居住者の視点、生活者の視点、被害者の視点から環境問題に接近するための方法論や技法を有している点」にあると述べています。

 本学会のメンバーが執筆者となって、日本で初めての環境社会学の教科書も刊行されています(飯島伸子編、1993年、『環境社会学』有斐閣)。このテキストでも指摘されているように、環境問題に関する社会学的研究は、日本においては主として農村社会学や地域社会学の中で始められました。ここに社会運動論、生活構造論、政策決定論、組織論、都市社会学、保健社会学、科学・技術論などを専攻していた研究者が加わって、次第に環境社会学へと形を整えてきた歴史を持っています。その後、環境社会学へと次第に比重を移していく過程で、環境問題にアプローチするための理論的枠組みや概念--住民運動論、被害構造論、受益圏・受苦圏概念、生活環境主義など--が生み出されてきました。

 アメリカでは1970年代末に、ダンラップ教授らによりパラダイムの転換が提唱され、<環境社会学>の成立が主張されましたが、日本における環境社会学研究は、実証研究を主体として進められてきたところに特徴があります。日本の環境問題の社会学的研究は、実証的、理論的にも成果が蓄積されつつあります。同時に今、環境社会学は、環境問題の分析と政策的提言への貢献が求められつつあります。その際、環境研究の学際性からみて、自然科学者はもとより、社会学以外の社会科学者との密接な協力を必要とすることはいうまでもありません。環境問題に関心をもつ市民との連携も必須と思われます。