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■■         環境社会学会メールマガジン         ■■
第39号 2003/11/6
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目次
■ 第28回環境社会学会セミナープログラム
■ 『環境社会学研究』投稿論文募集のお知らせ

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┃■┃ 第28回環境社会学会セミナープログラム
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環境社会学会研究活動委員会

今回は、自由報告の申し込みが、予想をはるかに超えて多く、当初予定していました会場では大半の方に報告していただけないという事態になりましたので、 急遽、会場を変更させていただきました。皆様には多大なご迷惑をおかけすることになりますが、充実した自由報告とシンポジウムを楽しみにご参加下さいます よう、お詫びかたがたお願い申し上げます。

日 時:2003年12月14日(日)10:00〜17:30(9時30分受付開始)
場 所:京都精華大学・黎明館
http://www.kyoto-seika.ac.jp/annai/index.htm
・ 京阪電鉄出町柳駅から叡山電車鞍馬行き(または二軒茶屋行き)に乗り換え、京都精華大前駅下車(約17分)
・ 京都駅から地下鉄に乗り換え、国際会館駅下車(約20分)。3番出口を出て右に約50m、スクールバスに乗り継ぎ(約10分)
(当日は午前9時00分、9時20分、9時40分発の予定で京都精華大学行きスクールバスを運行いたします)
参加費:1000円:参加申し込みは不要です。当日直接会場にてお支払いください。
(昼食は会場にて用意いたします。600円程度。申し込み不要)

■プログラム(会場はすべて京都精華大学・黎明館)

9:30受付開始

●自由報告 10:00-15:00
【セッション1・問題】10:00−12:00(報告20分、質疑10分、総合討論30分)
1-1 北海道はなぜ受苦圏となることを回避できたのか?:北海道幌延問題の検討
(吉田暁子、法政大学大学院)
1-2 新幹線振動・騒音問題の今日的様相:おもに被害の「客観性」に着目して
(大門信也、法政大学大学院)
1-3 不法投棄廃棄物に対する地元住民の「問題化」:青森・岩手県境廃棄物不法
投棄問題から(藤本延啓、九州大学)
【セッション2・河川】10:00−12:00(報告20分、質疑10分、総合討論30分)
2-1 長野県における9県営ダム建設計画中止の経緯と新流域対策
(植木達人、信州大学)
2-2 川への権利の誕生:矢作川漁協百年史から(芝村龍太、京都大学大学院)
2-3 環境認識と合意形成:オルタナティブ・ストーリーの可能性
(平川全機、北海道大学大学院)
【セッション3・自然】10:00−12:00(報告20分、質疑10分、総合討論30分)
3-1 「身近な自然」をめぐる人間活動とその可能性:札幌市西野、都市近郊林から立ち上がる「自然環境の担い手」(黒田暁、北海道大学大学院)
3-2 アフリカの野生動物保護におけるアクター間の合意形成:エチオピアの事例から(西崎伸子、日本学術振興会)
3-3 生活における動物との距離:タンザニア・西セレンゲティの自然保護政策にともなう生活実践の変容(岩井雪乃、京都大学大学院)

昼食 12:00−13:00

【セッション4・政策】13:00−14:15(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
4-1 内モンゴルの草原における環境保全政策及び生態移民の現状(甦叶、東北大学)
4-2 イスラームと環境問題:インドネシアの事例から(青木武信、千葉大学)
【セッション5・科学】13:00−14:45(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
5-1 科学技術論争のなかの「原因」と「解決」:「水道水フッ素化」論争における(石垣尚志、中央大学)
5-2 巨大公共事業における「対抗」科学の意義:千歳川流域治水対策を事例として(角一典、北海道教育大学)
【セッション6・運動】13:00−14:45(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
6-1 多摩ニュータウンのコミュニティ組織に見るSocial Capitalの形成
(中庭光彦、地域計画研究所)
6-2 ローカル抗議運動における『よそ者』受容:ドイツ・核燃料再処理施設反対運動担い手団体の取り組み(青木聡子、東北大学大学院)

休憩 14:15-14:45

●シンポジウム 14:45-17:30
「河川行政の転換と地域社会−今、改めて公共性を問い直す−」
パネラー:姫野雅義(吉野川みんなの会代表)
宮本博司(国土交通省淀川河川事務所所長)
嘉田由紀子(淀川流域委員会委員、環境社会学会)
司  会:田中 滋(環境社会学会)

【シンポジウム趣旨】
環境関係の法律が1990年代後半にいくつか改正されたが、その中でも、河川法改正(平成9年)は、河川や湖沼の管理主体の性格や公共事業のあり方に大 きく影響をあたえつつある。特に[河川環境の整備と保全][関係住民の意見の反映]が法律に明記されたが、これは日本の近代化の中で、明治29年に治水目 的に河川法がつくられ、昭和39年には高度経済成長のための利水目的がはいり、水管理の中央集権化が強められてきた河川行政の中でも大きな転換点である。
法律改正と並行して、現場の河川問題も流動化している。たとえば四国・吉野川の可動堰問題では、国の計画に対して、流域住民自身が治水を含む流域管理の 言を作成しはじめた。九州の川辺川ダム問題も、地元での賛否の中で本体工事は停止状態にある。淀川流域では、国土交通省自身が淀川流域委員会を組織し、環 境保全、治水理念の転換、住民参画を目指した河川整備計画作成のための提言を求めてきた。流域委員会では、[原則的にダムを建設しない]という[提言]を 2003年1月に提案し、かつて計画されたダムの[検討]がすすみつつある。
しかしダム計画の現場では、長い呻吟の時代を経て、地元としてダム建設を合意し、水没予定地の集落移転も完了してしまった段階で、[今さらダムはいらな い]というのは、公共的な約束違反として[ダム建設推進]の動きも高まっている。特に地元が強調するのは[治水]目的である。ここには、地元地域社会と行 政(自治体・国)、専門家の間での判断のずれがみられ、そこに[ねじれ現象]が生じている。さらにすでにうごきはじめてしまったダム建設の費用分担問題 も、利水需要者が撤退する中で、新たな枠組みが求められている。
これまで環境社会学会では、公共空間としての河川や森林などの所有や利用、管理主体のあり方と環境保全、地域社会のかかわりなどを歴史的観点や政策論を 含めて論じてきた。今改めて河川と地域社会・環境保全のあり方を、住民・行政・専門家の間で議論することは、公共性の意味を社会的に模索する環境社会学研 究の中でもひとつの重要な示唆を得られるものと思われる。
そこで、このシンポジウムでは、吉野川可動堰問題での住民投票を実現し、住民主体の流域管理計画をすすめる[吉野川みんなの会]の姫野雅義さん、国土交 通省での政策転換をめざす官僚の方、それに、環境社会学会で河川政策研究にかかわってきた者たちが加わり、発表と討議という企画を提案します。

【自由報告概要】
【セッション1・問題】
1-1 北海道はなぜ受苦圏となることを回避できたのか?:北海道幌延問題の検討
(吉田暁子、法政大学大学院)
日本の高レベル放射性廃棄物処分政策に大きな影響を与えた事例として、1984年に北海道幌延町が放射性廃棄物等の関連施設(「貯蔵工学センター計 画」)を誘致することで社会問題化した幌延問題がある。誘致を行なう幌延町に対し、北海道などは計画に反対し、90年に道議会は計画反対決議を行い、98 年に貯蔵工学センター計画が白紙撤回されることになる。その後、道内に放射性廃棄物を持込ませないための核抜き担保措置政策を取ることを踏まえた上で「深 地層研究所計画」を受け入れ、現在は幌延町に研究所が立地している途上である。北海道はどのように計画を拒否し、白紙撤回できたのか、この問題が処分政策 にどのような影響を与えたのかについて明らかにするとともに、受益圏・受苦圏論について考察を行なう。

1-2 新幹線振動・騒音問題の今日的様相:おもに被害の「客観性」に着目して
(大門信也、法政大学大学院)
本稿の目的は、尼崎市における山陽新幹線振動騒音問題の事例分析を通して、新幹線公害の今日的な諸特徴を探ることにある。尼崎市では、阪神・淡路大震災 の直後、振動の悪化を訴える声が沿線から噴出し、住民団体が組織された。住民組織は新幹線の減速等を要求し、JR西日本や行政などに交渉を行ってきたが、 要求は受け入れられず、むしろ列車のスピードアップや増便が進められてきている。新幹線公害問題は、舩橋らが明らかにしてきたように、名古屋等での反対運 動や大型訴訟の展開、環境基準等の告示とそれらに基づく対策の遂行などといった社会過程を経て今日に至るが、それにも関わらず新たな問題が発生しているの だ。このような現状の分析にあたり本稿では、(1)環境制御システムの経済システムへの介入が深化していない点、(2)被害を解明しその解消を担うはずの 環境制御システム自体が、被害の「客観性」に絡めとられ、住民の訴えを「主観化」し「排除」している点に注目する。

1-3 不法投棄廃棄物に対する地元住民の「問題化」:青森・岩手県境廃棄物不法投棄問題から
(藤本延啓、九州大学)
青森県と岩手県の県境、田子町と二戸市にまたがる原野に、日本最大規模といわれる廃棄物の不法投棄現場がある。本件について、現状で焦点となっているの は、この残された膨大な廃棄物をいかに処理するかということであるが、現場が県境であることや問題の顕在性の低さなどから、現場周辺の地元住民における態 度決定は足並みがそろわず、住民活動も不法投棄の規模からすれば活発であるとは言い難いものがある。
本報告は、青森・岩手県境廃棄物不法投棄事件における、地元住民の不法投棄された廃棄物への「問題化」に着目し、この問題について活動している3つの地 元住民団体のメンバーへのインタビューを通して、本件に対する地元住民の「問題化」がどのようなものであるのかを明らかにする。さらに「豊島事件」と対比 しながら、地元住民の「問題化」が不法投棄問題の解決にとって重要であることを指摘するものである。

【セッション2・河川】10:00−12:00(報告20分、質疑10分、総合討論30分)
2-1 長野県における9県営ダム建設計画中止の経緯と新流域対策
(植木達人、信州大学)
2001年2月に発表された田中長野県知事による「脱ダム宣言」は、様々な改革構想を推し進めようとする田中県政の中でも、最も衝撃的な改革理念であろ う。戦後の約40年間、中央との太いパイプによって展開してきた公共事業、その代表格であった県営ダム建設計画はこの「宣言」によって180°方向転換す ることになった。
本報告では、9県営ダム建設計画の実質的検討を担った「県治水・利水ダム等検討委員会」での議論を中心に、その中止決定までの経緯について今日の河川行 政の問題点を浮き彫りにしつつ振り返る。特にダム建設計画の推進側と反対側の対立構造が明確となり、激しい議論が展開された前半期と、知事再選後の対立構 造の融解状況下で、新たな流域対策案を創出する後半期について、下諏訪ダムと蓼科ダムを事例に検討する。

2-2 川への権利の誕生:矢作川漁協百年史から
(芝村龍太、京都大学大学院)
2002年2月、愛知県矢作川漁業協同組合は設立百周年を機に、総代会で「環境漁協宣言」を採択した。これは単に河川法の改正に象徴されるような、昨今の環境保全のながれに乗ったということにとどまらず、内在的な必然性に裏打ちされた宣言である。
河川漁業は河川環境に依存するところが大きい。そのため、周囲の条件の変化に応じて、否応なしに変化することを余儀なくされてきた。本報告では、①戦前 の漁業組合設立と漁業権取得の過程②高度経済成長期における河川のシステム化、河川汚濁および生業分解過程③80年代のレジャー化、観光漁協化④90年代 以降の環境漁協化の四つの転換期にわけ、特に④に焦点を当てる。
相次ぐ河川開発が河川漁業者の組織化を促し、さらに利水・治水中心の河川のシステム化に対抗して構築されてきた放流システムの行き詰まりが、河川漁業協同組合に河川環境保全へと目を向けさせていることを明らかにする。

2-3 環境認識と合意形成:オルタナティブ・ストーリーの可能性
(平川全機、北海道大学大学院)
1997年の河川法改正以降、河川に関わる様々な主体間の合意形成が必要とされている。場の設置や参与主体の問題とともに河川管理者や専門家と地域住民 の間の専門知における格差が両者の合意形成を困難にしている。この格差を解消するためにこれまで住民の環境認識やローカルノリッジを専門知に置き換えたり 住民自身が専門知を獲得する方策が考えられてきた。しかし、そうした方策は専門知を基準としている点で解決手法として問題が残る。格差自体を無効化するた めには専門知を基準としない議論のあり方を模索する必要がある。札幌市真駒内川の河川整備計画を策定する真駒内川対策協議会の議論では、専門知とは別次元 ではあるが住民の環境認識に支えられ一定の意味連鎖がある語りが見られた。それは河川管理者の専門知による語り(「ドミナント・ストーリー」)に対抗して 住民の意見を正当化する語り(「オルタナティブ・ストーリー」)であった。専門知を基準とした議論のあり方から、オルタナティブ・ストーリーを共有する形 での地域社会における合意形成の必要性を論証する。

【セッション3・自然】10:00−12:00(報告20分、質疑10分、総合討論30分)
3-1 「身近な自然」をめぐる人間活動とその可能性:札幌市西野、都市近郊林から立ち上がる「自然環境の担い手」
(黒田暁、北海道大学大学院)
「自然環境の担い手」とは、いかにして成立するのか。その問いを拠点として、本報告は、「身近な自然」をめぐる人間活動の可能性について展望する。札幌 市西野の森林、都市近郊林を舞台に活動する、有志の市民活動団体と、その「身近さ」や「自然」に働きかける営みの前に立ちふさがる、いくつかの課題群。地 域住民における環境認識の相違や、その中での市民活動団体のアイデンティティの葛藤といった、サイレント・マジョリティにまつわる課題。さらに、多目的な 自然利用という理想に秘められた対立性、排他性といった課題…。現場におけるこれらの課題群の克服には、いま何が必要とされており、そこではどんな議論の あり方が模索されうるのか。これまでの知見を整理し、さらに現場の脈絡から考察することで読み解いていく。その中で、「自然環境の担い手」とは、活動する 主体がそのまま社会的に認知されていくといったものではなく、地域の外側と内側という視点から、そして認識や記憶の古さと新しさの交差から、せめぎあうま なざしを持ってはじめて、担い手として自ら立ち上がっていくものであることを明らかにしたい。

3-2 アフリカの野生動物保護におけるアクター間の合意形成:エチオピアの事例から
(西崎伸子、日本学術振興会)
アフリカにおける野生動物に対する保全理念は「原生自然保護」の反省から1980年代に提唱された「住民参加型保全」へと移行した。しかし近代化の拡大 とともに住民の資源利用の方法が持続的ではない方向に変化していることが強調され、住民の管理能力の限界が指摘されるようになった。また、住民参加型保全 においても、経済的利益を住民に与えることによって保全へのインセンティブが生じるという考え方に注目が集まる一方で、地域住民の土地や野生動物の所有・ 利用権に対する要求は無視され続けてきた。発表者は自然保護の対象となる地域に暮す人々の生活を重視する立場にたって、「住民参加」を抽象的な概念ではな く、生活の中で実現するための具体的な方策を見出すことを目的に、エチオピアにおいて現地調査をおこなってきた。自由報告では、エチオピアのマゴ国立公園 を事例して、住民自らが密猟対策にむけて活動し始めた事例を紹介し、このような活動に至るアクター間の利害関係の調整の経緯を分析する。さらに、地域住民 の積極的な意見や行為を保全政策に反映させるための方策を検討する。

3-3 生活における動物との距離:タンザニア・西セレンゲティの自然保護政策にともなう生活実践の変容
(岩井雪乃、京都大学大学院)
タンザニアの西セレンゲティ地域では、植民地化以降、狩猟法や国立公園の制定といった自然保護政策が住民の生活実践に影響を及ぼしてきた。その過程で、 生活上の野生動物とのかかわり方は大きく変化しており、近年では人びとは動物が「遠くなった」と感じている。本発表では、1970年代以前と以降に時代を 区分して、動物にかかわる生活の変容を(1)動物との物理的な距離、(2) 70年代以降実体化した公園との関係という側面から分析し、その変化をうながした政治経済的要因を明らかにする。
そこからは、現在の住民は、物質的・経済的レベルおよび認識レベルのそれぞれにおいて、野生動物を許容できない状態にあることが示される。「地域住民と 動物の共存」とは、すなわち「住民が動物を許容できる利害関係のバランスを創出すること」と言い換えることができるが、現状改善のための政策展望として、 物質レベルよりも認識レベルでのバランスに働きかける施策が有効であることを示す。

【セッション4・政策】13:00−14:15(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
4-1 内モンゴルの草原における環境保全政策及び生態移民の現状
(甦叶、東北大学)
中国の内モンゴル自治区では草原環境の悪化につれ、草原環境保全の政策が続々登場している。その中、2000年から全自治区範囲で「生態移民」と呼ばれ る移民政策が打ち出された。この政策によって、生活環境が著しく悪化した地域及び北京・天津地域の黄砂発生地とされている地域の大勢の農民や牧民達が故郷 を離れ、他郷へ移住している。この過程のかなで、職業や家庭収入源の問題、生活再建の問題などさまざまな問題が生じ、移民達と政府に大きな負担がかかって いる。特に、モンゴル族の牧民達は中国の中で独自な文化を持つ社会階層であるため、彼らにとって町に住みつくことや農業に従事することは生産知識と家計の 問題だけではなく、民族集団の存続にかかわる重大な事態でもある。ここではシリンゴル盟の黄旗で行った現地調査を事例に生態移民の現状と草原保全政策の実 態を紹介し、この政策によって牧民達の生活に起きている変化を解析する。

4-2 イスラームと環境問題:インドネシアの事例から
(青木武信、千葉大学)
現在、イスラーム教徒は世界の人口の約5分の1を占めている。その地理的広がりもあり、イスラーム社会は無視し得ない存在になっている。そして、イス ラームは聖俗不可分であり、宗教はあくまでも政治的・社会的責任を果たすべきだと考えられている。そのため、イスラーム社会では環境問題対策、環境政策立 案などにおいて宗教の役割が大きい。
こうしたイスラームと環境問題というテーマについて考えるのに、インドネシアは格好の地域である。インドネシアは、熱帯雨林の減少から都市部におけるゴ ミ問題まで多様で深刻な環境問題に直面している。こうした問題に対して、各地で様々な活動が行われている。その多くでは、宗教指導者、特にイスラーム寄宿 塾プサントレンやその主宰者キアイが重要な役割を果たしている。1970年代以降、インドネシア政府はイスラーム指導者の協力を仰ぎ、家族計画を浸透さ せ、人口増加を抑制することに成功した。そして現在、環境問題対策において、イスラーム指導者の協力とその役割に大きな期待が寄せられている。

【セッション5・科学】13:00−14:45(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
5-1 科学技術論争のなかの「原因」と「解決」:「水道水フッ素化」論争における
(石垣尚志、中央大学)
科学技術や公共事業をめぐる意思決定過程への市民参加が主張され、例えば科学技術に関しては「コンセンサス会議」などの民主的議論の場が設けられるよう になった。しかし同時に、「場」を設けるだけで「対話」が可能になるわけではないとも指摘される(足立[2001])。本報告は「対話の場」の重要性を唱 える前に「対話」そのものを捉えるという問題関心に基づきつつ、対話以前の状態である「論争」を考察する。それは、論争の内容を把握することは、主張のす れ違いやズレを明らかにすることであり、結果、「対話」の可能性を検討し、「対話の場」を形成することにとって、その前提的な作業になると考えるからであ る。具体的には、「水道水フッ素化」論争を題材とする。そのさい「論争」の全てではなく、「原因」と「解決」をめぐる主張に焦点をあて、どのように論争が 形成されているのかを考察していく。「(問題の)原因」と「解決(策)」という主張から論争の内容・構図を捉えるさい、Gusfield[1981]の議 論および分析枠組みを参考にする。

5-2 巨大公共事業における「対抗」科学の意義:千歳川流域治水対策を事例として
(角一典、北海道教育大学)
巨大公共事業に関連する意思決定においては、科学的手続きによって導き出されたさまざまな数値が重要な役割を果たしているが、それら多くの数値は、専門 性がきわめて高いがゆえに本質的な理解がしがたく、不問のままにされることもしばしばである。また、今日では、巨大公共事業に対する反対を掲げる住民運動 から代案が提示される場面が増えてきたものの、その実効性については不確実な部分が多分にあるという点は否めない。
千歳川放水路では、さまざまな集団が政治過程に関与して、その趨勢に影響を与えている。それらの集団の中で、科学者集団の果たした役割は非常に重要であ る。かれらは、千歳川放水路建設の根拠である計画高水流量に対して、その算出方法に異議を唱え、そして、千歳川放水路に代わる案を提示した。千歳川放水路 をめぐっていくつかの話し合いの場が持たれたが、そこにおいては、事業者である北海道開発局と、千歳川放水路に反対する科学者集団との間で専門的な論争が 繰り返された。
結果として、計画高水流量そのものの変更にまでは至らなかったものの、千歳川放水路計画は白紙撤回され、科学者集団の主張していた遊水地案が、総合的治 水対策の一部に採用されている。こうした成果は、対抗権力としての科学の意義を示唆するとともに、話し合いの場における聴衆の支持の獲得が、反対運動に とって重要であるということを示すものといえる。

【セッション6・運動】13:00−14:45(報告20分、質疑10分、総合討論15分)
6-1 多摩ニュータウンのコミュニティ組織に見るSocial Capitalの形成
(中庭光彦、地域計画研究所)
多摩ニュータウンは造成後30年余りを経た人工都市で、高齢化の急速な進行という郊外都市特有の問題を抱えている。伝統的な共同体が存在しない居住地で どのような「持続する」コミュニティ組織が機能しうるのか。この問題は都市部における資源管理を考える上で避けて通れない。
そこで、この地で98年より活動を続けている「NPO FUSION長池」を事例に、メーリングリストとNPOを適切に結合させることで、「暮らしのサービス支援」を持続させ、組織機能を変化させてきたプロセ スを報告する。それは、当初は情報伝達ネットワークとして機能していた集団の紐帯が、住民のニーズ発見〜多様かつ小規模サービスのメニュー開発システムへ と変化するプロセスである。
これは、都市において単なる人的関係をsocial capitalに転化させる事例でもあり、都市・郊外における河川・湖沼等のCPR管理組織を持続させる上で大きな示唆を与えてくれる。

6-2 ローカル抗議運動における『よそ者』受容:ドイツ・核燃料再処理施設反対運動担い手団体の取り組み
(青木聡子、東北大学大学院)
国が進める大規模プロジェクトなどに対して地元住民が中心となって反対運動をおこなう際、当該地域以外からの支援・参加の獲得および活用は運動の成否を 大きく左右する。だが、ローカルな抗議運動が、そもそも住民のもつ危機感や「実感」を出発点とし、そこに基盤を置いている以上、外部参加者の取り込みは、 運動が地元から乖離する危険性を常にはらんでいる。
本報告ではこうした問題意識に基づき、ローカルな反対運動が展開される際に担い手団体は外部参加者の取り込みとローカルアイデンティティの維持をいかに 両立させうるのか、という問いを立てる。そして、それに対する回答を、ドイツ・ヴァッカースドルフにおける成功事例の分析を通じて試みる。
近年、社会運動の分析手段としては、資源動員論、政治的機会構造論、フレーム分析が用いられる。さらに「新しい社会運動」論の視点も加えたマクロな分析 も展開されているが、本報告では、運動参加の動機付けや参加者のもつ運動観形成に焦点を当て担い手団体の取り組みを重視するため、フレーム分析を用いる。

【第28回セミナー事務局】
西城戸誠(事務局長)、嘉田由紀子(シンポジウム)、古川 彰(自由報告)
問い合わせ先:〒612-8522 京都市伏見区深草藤森町1京都教育大学 西城戸誠
TEL 075-644-8215、E-mail makoton@kyokyo-u.ac.jp

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┃■┃ 『環境社会学研究』投稿論文募集のお知らせ
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環境社会学研究』編集委員会
(1)特集原稿の募集
環境社会学会も設立から10年経ち、有斐閣から出版された『講座環境社会学(全5巻)』、新曜社から出版された『シリーズ環境社会学(全6巻)』も完結 しました。短い期間に、実証的な研究成果を着実に生み出してきたといってもよいでしょう。しかし、現実の環境問題に対して、鋭い分析的な切れ味を発揮して きたでしょうか。既存の概念、理論に安住した研究にとどまっていないでしょうか。講座、シリーズが完結した現在、そうした理論的反省に取り組む時期にきて いるように思います。そこで、第10号では、「環境社会学の新たな展開(仮題)」と題した特集を組みます。この特集では、依頼原稿のほか、投稿原稿を広く 会員の皆様から募集いたします。少々荒削りでもいい、実証的な調査・研究の成果を踏まえつつ、今までの理論・概念を再検討し、新たな理論的展開を示すよう な論文を投稿いただきたいと願っています。なお、特集に関しては、通常の原稿と異なり、申込先は下記のとおりです。申し込み締め切りは2004年1月15 日(木)、原稿の最終提出締め切り日は3月1日(月)必着です.

【お問い合わせおよび投稿の申込先】
〒631-8502 奈良市山陵町1500 奈良大学社会学部  平岡義和
Tel/Fax: 0742-41-9561(直通)
E−mail: hiraokay@daibutsu.nara-u.ac.jp
(特集担当者:高田昭彦・平岡義和)

(2)自由投稿論文の募集
『環境社会学研究』第10号の自由投稿論文の申し込み締め切りは2004年1月15日(木)、原稿の最終提出締め切り日は3月1日(月)必着となりま す.編集委員会では論文を受け取った時点ですぐに査読手続きに入ります。従いまして投稿が早いほど編集委員会による最終的な採決以前に査読結果を踏まえて 修正するための時間が長く取れることとなります。
規定枚数のオーバーや英文要約の不備・不熟など投稿規定から見て問題のある原稿もこれまで散見されました。投稿が受理されない場合もありますので、『環 境社会学研究』の最新刊あるいは学会のホームページに記載されている投稿規定・執筆要項を再度ごらんになるようにお願いいたします。

【お問い合わせおよび投稿の申込先】
環境社会学会編集委員会事務局
〒305−8574 つくば市天王台1−1−1 筑波大学・体育科学系 松村研究室
Tel/Fax: 029−853−6378
E-mail: matumura@taiiku.tsukuba.ac.jp (matsu・・・ではありませんので注意して下さい)

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『環境社会学研究』第10号に投稿を申し込みます
タイトル:
論文・研究ノートなどの種別:
氏名:
所属:
連絡先: 自宅/勤務先(どちらかに○をつけてください)
住所: 〒
Tel :
Fax :
E-mail:
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(松村和則/編集委員会事務局長)

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□発行 環境社会学会 会長・嘉田由紀子(京都精華大学)
事務局
060-0810 北海道札幌市北区北10西7
北海道大学大学院文学研究科 宮内泰介
e-mail kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jses3/
□編集 田窪祐子(運営委員 富士常葉大学)takubo@fuji-tokoha-u.ac.jp
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、その他のお問い合せは
学会事務局(kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp)まで
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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